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オリジナル小説『私イズム!』第17回。

第16回はこちら。


第五章

[ダメージの小さな技でも、積み重ねれば大ダメージ] その2


 残り時間も少なくなってきた時点で、愛名チココが動く!

 思い切ってダッシュ!

 トイズはそれを見てから[角度C]!
 ヒットする!……そう思われた弾丸は、しかしチココをすり抜ける!

 チココは、ダッシュから姿勢の低くなる足払いを出して、弾丸をくぐった!

 とは言え、その足払いは少し届かず、近い距離で五分の状況!

 トイズは、安定行動の空中バックダッシュで距離を離す。
 しかしチココはダッシュで追う!

 移動力で言えばチココの方が上なので、着地前に下へと入り込む!

 トイズは降り際に、下方向に強い[ジャンプ武器攻撃]!
 チココも、無敵時間は無いが上方向に強い[窓拭きます!(地上版)]を出して対空!

『きゃうっ!』『ぐあっ!』

 ……相打ち!

 少し距離が離れる。

 挫けずに、愛名チココはダッシュで近付く!
 だが、今度はトイズも既に着地済みだ。
 とは言え、近い距離で有る事には変わりなく、トイズ側としても、[精密射撃]は撃ち辛い状況!

 愛名の頭の中には、三つの選択肢。

 一つは、このままダッシュして、打撃で下段か中段かを迫るパターン。
 それと対になる選択肢、ダッシュから、直接投げる。
 もうひとつは、[ガンアッパー]などの無敵技を警戒してガード。

 刹那の内に、脳が凄まじい勢いで回転を始める。

 ………どの選択肢が正しい?

 ……しかし、そんなものは考えたって答えが出る訳じゃない。
 とにかく、手の動くままに!

 次の瞬間、攻撃が確実に届く距離まで来たその時……急に浮かんだ、第四の選択肢。

 手が、指が、勝手にそれを選択していた!

 それは……[しゃがみ強攻撃]!

 [しゃがみ強攻撃]は、上方向に手を伸ばす、いわゆるアッパーのような技だ。
 けれど、この技は、上段攻撃。
 相手が立ちガードでもしゃがみガードでも、どちらでもガードされてしまう技。

 ………そんな技だが有効に使える場面が有る。

 それは……相手がジャンプで逃げようとした時!

 愛名は、無意識で気付いたのだ。
 下段も、中段も、投げも……ジャンプで避けられてしまう事に!
 その読みはピタリと命中し、飛びあがった直後のトイズにヒットする!

 そこから[ジャンプ弱攻撃]に繋ぎ、その後は、このラウンドの最初に決めたのと同じ連続技を決める!

 トイズの体力は、残り約三割。

 ここです……!ここが攻め時です!

 そう感じた愛名は、さらに攻めようと、空中から降りてくるところを再び迎え撃つ!

(さっきは[窓拭きますっ!]で相打ち……今度はこっちからジャンプして、相手が技を出す前にジャンプ攻撃を当てて先手を―――――)
 
 そう考え、ジャンプしたその瞬間……画面が一瞬の暗転と、カットイン演出!

(……あっ…!)

 気付いた時にはもう遅い!
 トイズの[PMゲージ]が溜まっている!

 ゲージ技、[下から見上げてろ!]が炸裂!

 これは、空中から斜め下へと銃を乱射する技で、ゲージ技なので威力も高く出も早い!
 既に攻撃が出始めていたチココは、完全にカウンターでくらってしまう!

『決着!』

 一ラウンド目は、燕トイズの勝利で幕を閉じた。
 勝ちを急ぐあまり、冷静に状況を見ることが出来なかった愛名のミスが生んだ敗北だった。

 思い出すのは、初めて菜射と戦った時の事。
 あの時菜射は、愛名のゲージ技をガードして、そこからの反撃で勝利した。
 ちゃんと状況が確認できていた証拠だ。

(やっぱり私、まだまだ、だなぁ…)

 二ラウンド目も、先日練習した、連携を抜けてからの反撃は決める事が出来たものの、一ラウンド目以上に丁寧な立ち回りを見せたトイズに終止圧倒され、愛名の敗北に終わった。
 その時燕は、相手の実力を認めて少し戦い方を変えていたのだが、愛名はまだそこには気付けなかった……。

「………ふぅ…」

 負けを確認して、ゆっくりと愛名は席を立つ。 
 ……もう一度戦いたい……そう思ったが、何人かが後ろで待っていたので、台から離れて少し見学。
 ……けれど、どんどん人が増えてきて、なかなかに機会が無く、そのうちに一人で居る事の怖さが蘇ってきて、仕方なく店を後にした。

(……これも、克服しなきゃダメですよね…)

 店からの帰り道、そんな事を考えていた愛名の肩に、ポン、と何かが置かれた感触。
 びくぅっっっっ!
 一瞬体が跳ねて、慌てて二、三歩前に踏み出し距離をとってから振り返る。

「……よう…そんなに驚かれるとはおもわなかったよ…」

 むしろこっちの方が驚いた。と言わんばかりの表情で立っていたのは、菜射だった。

「………どうして菜射さんが…?」

 驚きにパクパクと口を動かしていた愛名は、ようやくそう言葉を発した。

「どうしてって…アタシ、あの店の常連だし……愛名が店から出てくるのが見えたから」

 その言葉に、がっくりと膝を落とす愛名。

 ………考えてみれば当然じゃないの……!あの店に連れてってくれたのも菜射さんですし、大会に出ていた方々ともお知り合いみたいでしたし~~!!

 そんな事に考えが到らなかった自分に自己嫌悪の愛名。

 けれどそれは、それだけゲームの事だけに集中していたと言う証拠でもあるのだが、それを言ったとしても慰めになるかどうかは難しいところだ。

「なにさ、そんなに落ち込んで……そんなに、私に会いたくなかったのか?」

 菜射は、笑顔を作りつつも、少し寂しそうだった。
 それを見て、愛名は慌てて言葉を捜す。

「ち、違います!そんな事無くて、むしろ会いたかっ……じゃなくて!別に会いたかったとか、そう言う事じゃないんですけれど……いやでも、会いたくなかった訳じゃなくて、その、あんな事言ってしまいましたし、少し気まずいと言いますか……でもその、やっぱり会って謝りたいとも思っていて…ではなくて……!えっと……その、だから、だから私は……!」

 混乱して自分でも何が言いたいのか・・・・・気が付くと、愛名の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれていた。

「ちょっ……ちょっと、どうして泣いてんの…?」

 今度は菜射が慌てる番だ。
 人通りは少ない道だが、居ない訳ではない。
 通り過ぎる人々が、何事かと二人に視線を向ける。

「ごめ…ごめんなさい……!自分でも、解らないんです……!けど、涙が止まらなくて…!」

 ヒクヒクとしゃくりあげながら泣き続ける愛名。
 言葉の通り、自分の感情がわからない。
 嬉しくて泣いているのか、悲しくて泣いているのか、後悔に泣いているのか、悔しさに泣いているのか。
 ………その、全てなのか。

「……しょうがないな……」 

 菜射はそう呟くと、泣いている愛名をそっと抱きしめる。

「あ~…アレだ、アタシの胸で良かったら幾らでも貸すから、存分に泣け」

 驚いた愛名が顔を上げると、そこには照れて真っ赤に染まった菜射の顔があった。
 それがなんだか可笑しくて、嬉しくて、また少し泣いた。

「……お前は、少しは弱みを見せる事を覚えろよ。アタシ達は…友達、なんだからさ」

 その言葉は、愛名の胸を暖かさで満たす。
 
 と同時に、(今……キュンってしたかも…)不思議な感情も、少し植え付けた…のかもしれない。

 
            第18回につづく。

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