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オリジナル小説『私イズム!』第21回。

第20回はこちら。


 第六章

[追い詰められて画面端] その4


 翌日、早速予選へ。

 愛名は見つからないように変装をしての参加だったが、大会に出る事は親にも知られていない事もあり、少し離れた位置に有るこのゲーセンまでは手が回っていないようで、安心して試合に挑む。

 大会の空気に慣れさせるという意味も含めて、愛名は先鋒。

 けれど、勝てない。

 もう一歩のところまでは行く。
 決して、実力的に完全に劣る、と言う事は無い。
 だというのに、後一歩のところで競り負けてしまう。

 大事なところで攻めきれない。

 それは、愛名の心の弱さの表れでもあった。

 しかし、大会はそれを克服するまで待ってなどくれない。

 愛名は、自分の課題を再確認したまま、未勝利で予選は終了した―――――。


・・・・・・


「………すいません、お役に立てず………」

 帰り道、うなだれながら道を歩く愛名は、そう謝罪した。

「いいのよ~。あまり気にしないで~」
「そうそう、結果的に優勝はしたんだしな!」

 そう、幸果と菜射の活躍で、予選は突破できた。

 しかしだからこそ、愛名は自分の無力さに打ちひしがれていたのだ。
 チームとしては優勝なのに、自分は一勝もしていない。
 つまり、自分は居なくても良いのではないか?そんな事さえ考えてしまいそうになる。

「愛名」
「愛名ちゃん」

 カクンと落ちた首に、幸果と菜射が両側から腕を回す。

「落ち込んでる暇は無いって!そんな暇があったら…」
「練習、有るのみよ~」

 言って、二人はニカっと笑う。

 その笑顔に、心が上昇するのを感じていた。

 ……そうです…落ち込んでる暇なんて無いです…!

 どうであれ、決勝へ行けるのは決定事項。

 だったら、同じ思いをもう二度としないように……!
 でなければ、家出を決意してまで大会に出る意味が無い!

 愛名は上を向き、夕日の眩しさに目を細めながらも、大会へ思いを馳せるのだった………。


 それからは、練習漬けの日々か続いた。
 愛名としては学校もサボりたいくらいだったが、そこは幸果にたしなめられて、通いながらの特訓の日々だ。
 学校の周りには常に見張りが居て愛名を探していたが、香澄がどこからか調達してくるカツラや化粧道具を使ったり、何に使っていたのか、菜射が知っていた抜け道などを使いつつ、何とかごまかしながら通っている。


 ………このまま後は大会を待つだけ……そう思っていた大会三日前に事件は起きた――――――


「大変!大変よ~!」

 休日の昼、愛名と菜射が秘密基地で特訓の最中に、幸果がそう言いながら慌てて入ってくる。

「どうしたんですか?」
「なんだ?ゆっか姉が慌てるなんて相当の事だな」

 まだ事の重大さに気付いていない二人は、わりと能天気に声をかける。

「あ、あの!あのね…!」

 息が切れて、上手く話せないのか言葉を詰まらせる幸果。

 そこへ香澄が、「どうぞ」と水を差し出す。

 それを受け取り、一気に飲み干した幸果はようやく落ち着いたのか、大きく深呼吸をし、一瞬の沈黙の後……衝撃の事実を告げた。

「大会が・・・・『闘演舞』が、中止になるかもしれないって!」


       第22回につづく。

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