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オリジナル小説『私イズム!』第29回。

第28回はこちら。


第八章

[ラスボスは、卑怯なくらい強いのが丁度良い] その4


(開幕から攻めます!)

 チココは[立ち強攻撃]を出す!
 あまり出の早い技ではないが、対トイズの場合は、トイズの[立ち中攻撃]と[しゃがみ中攻撃]以外には勝てる選択肢だ。

 しかもその二つは食らってもダメージは小さく、追撃も入らない。
 だが、それ以外の技を出してくれば、[立ち強攻撃]がカウンターヒットして追撃が入る!

 対トイズ時にのみ通用する、ローリスクハイリターン行動!

 これも、徹底したキャラ対策の賜物だった。

 しかし、トイズは読み合いを避けて空中バックダッシュで後方へ逃げる。

「もう…!」

 愛名はそれを追いかけるが、トイズは[精密射撃]を狙っていた!

 ダッシュかジャンプかの二択勝負!
 愛名はダッシュを選択!

 ……と見せかけて、ギリギリまで引き付けてジャンプ!

 トイズの選択は正面への攻撃[角度C]!

 ジャンプしたチココの足元をかする様に飛ぶ弾丸をギリギリで避けて、そのまま射撃の隙へとジャンプ攻撃!

(良し…!)

 そこから地上連続技へと繋ぎ、[モースト]を絡めた最大連続技を叩き込む!
 あの時ゲーセンで決めたものよりも進化していて、僅かにダメージが高くなっている。

 三割五分のダメージを奪う!

「おおっとぉ!まずは先手を取ったのはチココだ!」

 連続技が空中で終わったので、さらに着地の攻防!

 先に着地したチココが、トイズの落下を攻める!

 それを避けようと、空中で前方ダッシュして、チココの背後に回ろうとするトイズ。

 チココはそれを読んでジャンプする!

 迫って来る形になったトイズに、出の早い[ジャンプ弱攻撃]を当て、そこから再び空中連続技!
 しかし、ダメージはあまり稼げず、一割半ほど。

 だが、合計で五割奪った事になる!

(…このアドバンテージ、かなり大きいです!)

 トイズは、基本「待ち」が強いキャラだ。

 けれど、タイムアップの瞬間に残り体力多い方が勝つこのゲームでは、リードを奪われては攻めない訳には行かなくなる。

 するとそこには隙が生まれる!

 だからこそ愛名は、多少危険を冒してでもダメージを稼ぎたかったのだ。
 そしてそれは成功した。

 今、状況はかなり愛名に有利だと言える!

「さあ、トイズは厳しくなってきた!何とか攻め込んで逆転できるか!」

 実況の声が響く中、トイズは慌てない。

 まだまだ時間は有る。

 落ち着いて、遠くからの牽制、と言う得意のパターンでじわりじわりと待ちながら攻める。

 細かい牽制が何発かヒットし、体力を二割強奪われるチココ。

「まだ、大丈夫……!」

 このまま優位な状況を保てば……!
 その考えが、一瞬の油断!

 トイズの[特殊弾装填]!

「…っ!いけない……!」

 油断を見逃さないトイズの行動。
 愛名は慌ててダッシュ!

(間に合って…!)

 [特殊弾装填]の隙は大きい、今からでもダッシュすれば――――!

 ダッシュから、出の早い[弱攻撃]を出して連続技を狙う愛名チココ!
 が、次の瞬間!
 トイズの無敵技[ガンアッパー]が炸裂!

「あっ…!」

 ダッシュは間に合わず、カウンターで食らってしまう!

「おっとーー!これはトイズに大チャンスが来たぁぁぁーーー!」

 [ガンアッパー]はカウンターで決まると、かなりの時間的優位を持って起き攻めを仕掛けられる状況になるのだ。

 しかも、トイズは[特殊弾装填]済み!

 ダウンしているチココに近付いて、[角度A]!

 このタイミングは、中・下段同時攻撃でガード不能!
 なす術も無く食らってしまうチココ。

 そのまま連続技!

 [モースト]と[ゲージ技]を両方絡めた強烈連続技で、チココの体力は一気に五割奪われる!

 今までのダメージと合わせて合計七割強。
 残りは、二割半程度しかない!

「くっ……!」

「さあ、状況は一気に逆転!トイズは落ち着いて待ちの体制に入った!今度はチココがこれを攻め崩せるか!」

 愛名は残り時間を確認する。
 さっきまで自分が時間を使って戦っていたのが、ここへ来て裏目に出た。

 残りタイムは30カウント。

 約二秒で1カウントなので、一分弱と言ったところだ。

 決して逆転が不可能な時間ではない!

(落ちつくのよ愛名!まだ、諦めるのも焦るのも早すぎる!)

 慎重かつ大胆に攻めて、ダメージを奪う……!
 愛名はそう腹を決めて、攻めて出る!

 しかし、トイズは連続技の後に再び[特殊弾装填]を済ませている。

 [角度A]で壁をつくり、[角度D]で広範囲に攻撃を仕掛けながら、巧みに[特殊弾装填]の状態をキープする。

「…………!!」

「チココ厳しい!なかなか攻め手が見つからない!だが、時間は無常に過ぎていくぅーー!」

 時間は無常に過ぎて、残りカウントは15!

(……もう、行くしかない……!)

 愛名は覚悟を決めてダッシュ!
 足払いを出せば、[角度A]を食らいながらでもダウンを奪えるし、[角度C]は潜れる!
 あとは出すタイミングさえ間違えなければ……!

「……ここ!」

 ベストだと思った。

 このタイミングなら!と。

 しかし………

「あ~っと!ここでトイズは…[角度D]だぁーー!」

 [角度D]…斜め下に弾丸を発射する[角度D]!

 既に足払いの動作に入っていたチココだが、攻撃判定が出る前に弾丸がカウンターヒット!

「……そんな!」

「ここへ来て、[未来視]が炸裂したぁーーー!これはチココ痛すぎる!」

 愛名は、画面の向こうから、燕の「してやったり」と言う感情が伝わって来たような感覚を味わっていた。

 [角度D]は2ヒットする技ではないので、ダメージはそれ程高くない。

 しかし、カウンターヒットなので、のけぞり時間が長い!

 そこへ追撃の足払いを決められる!

 ダウンしている間にまた距離を離され、残りタイムは6カウント。

「まだ、まだ終わってません…!」

 ゲージが二つ溜まっている…これを絡めた連続技を決められれば…!

「チココ必死に追う!追う!追う!!…が、捉えられない!トイズが巧みに逃げる!」

 しかも逃げながらも、ダメージは小さいがリーチの長い牽制技を細かく当てられ、体力を無駄に削られるしかない愛名。
 そして………

『時間切れ!』

 画面上に無常にもその知らせ。

「タイムア~ップ!1ラウンド目はトイズがうまく立ち回って勝負を決めました!」

 逃げる事は、決して卑怯ではない。

 特に、勝ちが絶対的に必要な状況なら、タイムアップを狙うのも立派な作戦だ。

 それはつまり、追い詰められなかった方が悪いのだ。

 逃げる技術と追う技術。

 優れている方が勝つ、それだけのことだ。

「……もうっ…!」

 悔しさに唇を噛む愛名。

「落ち着け、まだ決まった訳じゃねぇぞ!」
「そうよ!練習を思い出して!」

 菜射と幸果に声をかけられ、冷静さが戻ってくる愛名。

「……ええ、大丈夫です!」

 そう、まだ終わりじゃない!

 次を取る!

 そしてその次も取って、私が勝ちます!

  
        第30回につづく。

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