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オリジナル小説『私イズム!』第32回(最終回)。

第31回はこちら。


『エピローグ』


「んっ…!う~ん…!疲れました~!」

 大会終了の余韻も冷めないまま、インタビューやら表彰式やらをこなし、ようやく開放された愛名達。

 三人だけで、会場近くの公園でひと時の休息だ。

 しかし、疲れてはいながらも清々しい気持ちで一杯だった。

「しかしよくやった!あそこから逆転とは!お前凄いよ!」
「本当よ~成長したわね愛名ちゃん~」

 手放しで褒められて、かなり照れる愛名。

「そんな…!お二人のご指導の賜物です!」

「…まあ、それは確かにそうだな!」

 菜射の発言に、どっと笑いが起こる。

「けど愛名ちゃん~あれが公式戦初勝利でしょ~?凄い場面での初勝利ね~」
「……え?…あ!そういえば!」

 言われるまで気付かなかったけど、そうだったんだ!
 愛名は、自分のした事がなんだか恐ろしくなり、今になって身体が震えてきた。

「なんだか、緊張が戻ってきました…!」
「今更かよ!」
「愛名ちゃんって、ちょっと天然さんな所あるわよね~」

「ええっ?私がですか?」

「そうだな」
「そうね~」

「そ、そんな事無いです!絶対に違いますから!」

 言葉は怒りながらも、自然と笑顔が湧いてくる。

 さっきまで、あんな興奮の中に居たのが信じられない程の、穏やかな時間。
 柔らかな風が、まだ冷め切れぬ熱を持った体を心地良く冷ましていく。

 ……と、そこへ異質の空気を纏った一人の影。

 気配を感じそちらへ顔を向けると、そこに居たのは……燕だった。

「……!…ど、どうしたんですか?」

 愛名は驚きながらもそう声をかけるが、燕は黙ったまま、じっと視線を向ける。

「お、燕?どうした」
「あら~燕ちゃん~」

 菜射と幸果も気付き、声をかける。
 しかし燕は答えない。

 しばらく続いた沈黙に耐え切れなくなって、もう一度愛名が声をかけようとした瞬間――――――燕の両瞳から、涙がボロボロと流れ始めた。

「っ!」

 そのあまりに意外な行動に、うろたえる愛名。
 そして……燕が、泣きながら突然愛名に向かって走る!

「いっ?!」

 ビクッとして体を硬くする愛名……だが、燕は愛名を通り過ぎ、後ろの幸果にガバッと抱きついた!

「………は?」

 愛名の頭には、でっかい「?」が浮かぶ。

「え~ん!幸果ぁ~!ボク負けちゃったの~」
「あらら~泣き虫ね燕ちゃんは~」

 胸に顔を埋めて泣く燕を、抱きしめて頭を撫でる幸果。
 しかも、燕は今までのようなおどおどが全く見られない。

「……どう言う事ですか?」

 理解が不能すぎて、菜射に助けを求める愛名。

「え~と……なんて言うか…」

 菜射は言葉を濁す。
 そのまま言いにくそうにしてる菜射をよそに、二人の会話は進む。

「けど、どうして急に秘密基地に来なくなっちゃったの~?心配したのよ~」
「……!!!?」

 愛名の頭は混乱の極みだ。

「まあ、そう言う事だ、燕は元々、私達の仲間だったんだよ」

 衝撃の事実!

「ちなみに、最近は事情があって来てないが、あの秘密基地には後二人仲間が居る」

 驚愕の真実!
 もう何がなんだか……?

「ん~?どうしたの燕ちゃん。黙ってたらわからないでしょ~?」
「……幸果が……」
「ん~?」

「幸果が!ボク以外の女の子の事ばっかり見るんだもん!ボクはこんなに幸果が好きなのに!」

「・・・・・・・・はい!?」

 混乱の極み!

「あらら~そうだったの~焼きもちさんね~燕ちゃんは。…どうすれば許してくれる~」
「………ちゅーするの!ボクにだけなの!他の子にしたらヤなの!」
「はいはい~。ん、ちゅ~」

 そして、幸果は燕にキス。

「………………」

 もう愛名の脳は考える事を放棄する寸前だった。

「まあつまり、そう言う事だ」

 菜射が、深いため息と同時に、重い口を開く。

「ゆっか姉は、本物の百合娘で、まあようは、あの二人は痴情のもつれで揉めてた様なもんだ。そんな関係だから、燕もゆっか姉の前ではオドオドが出ないのさ」

「………はあ、そうなんですか……」

 完全なる空返事。
 もう、脳の要領が記憶を拒否し始めている。

「あら?どうしたの愛名ちゃん~」

 幸果が、様子のおかしな愛名に近付いてくる。

「もしも~し、愛名ちゃ~ん?」

 あまりの混乱にただ口をパクパクされる愛名。
 すると幸果は何かに気付いたかのように、ポン!と手を打った。

「そっかぁ~愛名ちゃんも焼きもちね~。じゃあ、愛名ちゃんにもちゅ~!」

 そして、愛名にキス。

「……………!!!」

 一瞬で思考がクリアになり、次の瞬間沸騰。

(ゆ、幸果さんが私にキス!口にキス!夢や妄想じゃなくてホントにーーー!!)

 幸福感と、もう訳のわからない感情でぐるぐるしている愛名。

「あー!だから、それがダメって言ってるのー!」

 燕が怒りの叫びを上げる中、さらに状況を混乱させる人物が、やって来た。

「あ、お嬢様!ここにいたんですね!優勝おめで…とぉーーーーー!?」

 祝福しようと愛名たちを探していた香澄が現れたのだ。

「き…キス!お嬢様と幸果様が!……く、悔しいけど!美しい!美しいわ!美女と美少女の百合キッス!はっ!写真!写真を!資料用と保存用と実用と引き伸ばして飾る用とーーー!」

 鼻血とよだれを垂れ流しつつ、二人の周りをぐるぐる回りながら、大会の様子を写そうと持ってきたカメラでパシャパシャと写真を撮りまくる。

「きゃふーー!きゃふーー!これは永久保存です!お宝ですーー!」

「もーいいかげんにするのー!長いーーそんな長いキスずるいのーー!」

「……はぁ…なんだかなぁもう……」

 香澄の狂喜と、燕の叫びと、菜射のため息が響く中、愛名は思った。

 
 ―――私の人生……変わりすぎ!

 
 ……けれどまあ、これはこれで楽しそう…かも?

 少なくとも、絶対に退屈はしなさそうです!

 
 …それに、結局最後に全て手を手に入れるのは、この私、だしね!


           終わり。

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コメント

面白かったです!


ところで、たくさん感想を書かれてますが、仕事が家で出来るものだからなのでしょうか?

外で仕事なので見る時間が限られるので、どうやって見ているのか気になります。

お時間があれば回答お願いしますm(_ _)m

投稿: ノァール | 2010.06.24 09:37

お、初コメントです。
ありがとうございます。

…で、仕事の件ですが…秘密です(笑

自分の勝手なこだわりですが、個人的な情報は殆どブログ上に書かないことにしているのです。

「何歳で、どういう仕事をしているどういう人間がどんな状況で書いた文章なのか」…という先入観や余計な情報は抜きにして、単純に一つの感想として読んで欲しいなぁ…とか思っているので。

…大体の年齢はどうしても出ちゃう時有るんですけどね(笑

けど、一つだけ言うと、ちゃんと全部録画して、時間を作って見ていますよ。もちろんリアルタイムで見れるモノはリアルタイムで。

まあ、ある程度は時間が自由に使える人間だと思って下さい。

こんな答えですみません。
宜しければまたこのブログ見に来て下さいね。
ではでは失礼します。

投稿: 猫震(書いた人) | 2010.06.26 03:24

(どうしても、言いたかったのでここに書かせて下さい。このコメントは読んだら捨てちゃって下さい。)


「宇宙ショーへようこそ」は無理してでも劇場で見るべきです。
家の小さな画面で見るのはもったいないです。
なんとしても清水に行くべきです。

投稿: 宇宙ショー | 2010.09.15 23:03

わざわざ助言ありがとうございます!
自分も見には行きたいのですが・…調べてみたところ、清水の上映時間だとちょっと時間の都合が…。

けど、沼津でも上映が始まるらしく、そっちはもしかしたら行けるかもしれません!
木曜日のメンズデーに行けば、往復電車賃と合わせても2000円くらいですし・・・都合が付いたら行ってみます!

諦めてた自分にきっかけをくれて感謝です!

投稿: 猫震(書いた人) | 2010.09.16 02:13

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